管理部門・士業に特化した総合的な人材支援を行う株式会社MS-Japan様。1990年の創業以来、30年以上に渡り経営管理領域の人材サービス業界を最前線で牽引してきました。
この度、株式会社Praztoでは、MS-Japan様のSalesforceとTableau導入支援を行いました。基幹システムを残しつつ、データ活用の第一歩として今回の導入に至ったというMS-Japan様。SalesforceとTableauにより、どのようなデータ活用を目指しているのでしょうか。さらにAI活用も視野に入れた今後の展望もお聞きしました。
株式会社MS-Japan
キャリア事業部 企画Division システム開発Section マネージャー
大学卒業後、SIerとし大手金融機関のシステム開発に従事。業務系システムの要件定義から運用保守まで幅広く担当。 2017年よりMS-Japanに参画。情報システム担当として社内システムの導入、最適化、DX等の効率的な業務プロセスの導入を推進。 現在はシステム開発Sectionマネージャーとして基幹システムの最適化やwebサイトの構築、業務効率化などITとビジネスの統合、IT基盤づくりを統括。
芳賀 怜史(はが さとし)
株式会社Prazto
代表取締役
早稲田大学卒業後、SIerでエンジニアとしてキャリアをスタート。その後、外資系マーケティング会社、Salesforceゴールドパートナー企業と、3社での経験を通じて一貫してエンジニアリング技術を磨き、多くの顧客の課題解決に従事。2019年、Salesforceを中心とした導入支援・開発事業を行う株式会社Praztoを創業。2022年にSalesforceパートナーのルーキー企業として最優秀賞「Emerging Partner of the Year – Consulting –」を受賞し、年商3.7億円にまで事業を成長させる。「Technology and Design are True」というビジョンのもと、最適なシステムを提供するプロフェッショナルチームを統率している。高澤 昌平(たかざわ しょうへい)
株式会社Prazto
Senior Consultant
新卒で薬局向けクラウドサービスのセミナー企画、登壇、広告プロデュースなど、BtoBマーケティング職として、販売促進業務に従事。さらに、社内のSalesforce、MAツールの管理者も兼任。 2023年1月、Salesforceの知識と幅広い業務経験を活かしたいと思い、Praztoに入社。数多くのPJにPMとして担当して成功させ、お客様から高い評価をもらう。MAツールの知見や、CRM AnalyticsとTableauの複数のBIツールも習熟するなどプレイヤーとしても高い能力を保持している。基幹システムの弱点を補完すべく、Salesforce&Tableauを導入
芳賀:改めて、御社の事業紹介をお願いします。
加藤:弊社は経理、人事、法務といった管理部門の方々と、弁護士、会計士、税理士、社労士などの士業の方々向けに、人材事業とメディア事業を展開しています。
メイン事業となる人材事業では、「MS Career」という転職支援サービスを展開。こちらは管理部門・士業特化型転職支援サービスの中でも、国内利用者数ナンバーワンです。転職支援の「MS Agent」と、スカウトサービスの「MS Jobs」があります。
メディア事業もターゲットは同じで、2017年に「Manegy(マネジー)」というサービスを立ち上げました。仕事に役立つニュースや、仕事で使う書類のテンプレートを配信、Manegy会員の士業の方への質問サービスも備えています。また、2022年にはBtoBサービス比較プラットフォーム「Manegy toB」もリリースしました。
潜在的な求職者の方にまずはManegyに登録いただき、実際に転職したいとなったらMS Careerへ。そして転職先でもManegyで情報収集をしていただき、また転職意欲が湧いたらMS Careerへ…という長期間での関わり方を想定したサービス展開となっています。
芳賀:ありがとうございます。今回、データ分析プラットフォームとしてSalesforceとTableauの導入を行いました。その理由について教えてください。
加藤: 現在も基幹システムは別のものを使用しているので、今回はデータを入れる「箱」を用意するためにSalesforceとTableauを導入しました。
というのも、基幹システムの方は、データ分析が苦手で、カスタマイズ性が低いという弱点があったからです。項目のカスタマイズはできても、データの在り方や画面のUIは変えられないのです。なので、データ分析をするとなると、一旦エクスポートしてExcelやGoogleスプレッドシート上で加工する手間がかかっていました。その点が課題でしたね。
芳賀:データ分析に課題を感じていたからこそ、Tableauでのデータの可視化を希望されていたのですね。
加藤:そうですね。しかも事業部ごとにデータ加工をしていたので、どうしても誤差が発生してしまう状況で。
また、人材事業のデータの取り方には特殊な部分もあるのです。例えばセグメントも、上場か非上場企業か、テック系か非テック系企業か、また職種別にも分けたりと、多岐に渡ります。社内の様々な人が異なる出力をしていたので、データが煩雑になってしまっていました。
芳賀:データがまとまっていないことで、実際にどのような弊害が出ていたのでしょうか?
加藤:例えば営業会議などで各々が持ってきた数字に誤差があると「この施策本当にあってるの?」といった状況に陥ることはありましたね。流石に売り上げに直接影響が出ることはなかったですが、経営判断には少なからず影響を与えていたと思います。
Salesforceを統合的なデータプラットフォームへ
芳賀:SalesforceとTableauの運用を開始してから数ヶ月が経ちました。具体的に課題は解決しましたか?
加藤:はい、全社で共通の指標でデータを見ることはできるようになりました。
芳賀:今後、Salesforceを使ってどのようなことがしたいとお考えでしょうか?
加藤:インサイドセールスやフィールドセールスがデータを溜めておくツールがバラバラなので、今後はSalesforceを統合的なツールにしたいと思っています。現状、人材事業側とメディア事業側が同じお客様をそれぞれ追ってしまっているので。データを統合することで新しいシナジー効果が生まれるのではないかと思います。
ただ、基幹システムの入れ替えに関しては、ハードルがまだ高いと感じています。メイン業務の運用が全部変わってしまうので、今後どうするかは要検討中です。芳賀:Salesforceを統合的なデータ分析ツールとする基盤は整っていると感じています。今は売り上げ実績のデータが蓄積されていますが、今後商談フェーズのデータも入れられれば、さらにできることが増えると感じています。
加藤:そうですね。商談データまでSalesforceに入れることができたら、とても嬉しいです。
芳賀:Tableauはどのように使っていきたいですか?
加藤:まだあまりグラフィカルなことができていないので、今後はもっと使いこなしていきたいですね。全体を俯瞰して、傾向を分析する…そのようなグラフを作っていきたいです。求職者データ×Tableauの可能性
芳賀:弊社のご支援へのフィードバックをお願いできますか?
加藤:我々にSalesforceとTableauの知見が全くなかったので、非常に助けていただきました。弊社からの細かい質問も多かったかと感じています。そこに対してしっかりご対応いただけた点はありがたかったです。特に人材業界だからこその複雑なデータの取り方もあったのではないかと感じています。
高澤:ありがとうございます。たしかに、求職者側と求人企業側の二つのデータを管理しなくてはならないので、データモデルが複雑になりやすい点は感じていました。
芳賀:その点、やはり御社のデータ活用にはSalesforceが使いやすいのではないかとも思います。そもそもSalesforceのデータモデルは、インサイドセールスから始まって8つの段階にフェーズが分かれていて、フェーズからフェーズの転換を見ていくものです。御社のデータモデルと結構似ている部分もありますよね。
加藤:そうですね。たしかに、近しいところはあります。
芳賀:ちなみに、求職者側と求人企業側のデータの管理・活用法は異なるものなのでしょうか?
加藤:はい。求職者の方に対しては、弊社がデータを活用して積極的に管理することはありません。というのも、弊社以外にも他のエージェントサービスもご利用いただいていることが多いので。データを見てというよりも、キャリアアドバイザーがカウンセリングをして、マッチする企業を紹介していく、という流れになります。
芳賀:なるほど。そういった場合、TableauをCDP(カスタマーデータプラットフォーム)として活用する方法もあるのではないかなと感じました。例えば顧客データをSalesforce PardotやGoogle Analyticsと紐づけて、サービスに再訪した方にすぐ架電できるようにする、などといったように。
加藤:それは理想的ですね。求職者のデータをSalesforceとTableauで扱うことで、できるようになることはとても多いと思っています。
芳賀:ぜひまたご提案させてください。目指すはAIを活用したDX
芳賀:今後の御社のデータ活用の展望も教えていただけますか?
加藤:弊社では現在、人と企業の自動マッチングで使用するRPAの導入も進めています。また、転職先の決定率向上のためにAIモジュールの開発もしています。このようにAIを活用したDX化で人材業界をリードできる存在になっていきたいと考えています。弊社には、今年3月時点で15.6万人を突破したMS Japan IDという顧客データがあります。この顧客データをAIで行動分析し、スコアリング付けをして、効果的な広告を出す…などもしてみたいですね。
芳賀:求職者の行動履歴からAIで最適な職種を出すことは、今の技術でもできる部分もあると思います。
加藤:そうですよね。例えば、人と人をマッチングさせるマッチングアプリ業界も、AIを導入してからマッチング率が上がったと聞きます。弊社も人と企業をマッチングさせる立場なので、マッチング率と決定率向上のためにAI導入は前向きに進めています。
特に弊社は、キャリアアドバイザーが求職者とカウンセリングした際のコメントが、顧客情報としてとても重要です。そのコメントもAIで読み込んでマッチングできたら嬉しいなと考えています。やはり、皆さん転職には細かいこだわり・条件があるので、会話から得た情報も反映したいなと。
芳賀:では最後に、今後弊社に期待していることを教えてください。
加藤:弊社にはレガシーシステムが存在しており、まだまだ開発が弱い部分もあります。私は開発マネージャーとして、レガシーシステムからの脱却を目指してDX推進をしています。今回のSalesforceとTableau導入はその第一歩です。
御社のAI活用へのお考えなど、弊社と世界観が近しいものがあると感じています。なので、ぜひ今後もDX推進に向け、お力添えをいただきたいです。